世界的に電気自動車(EV)への関心が高まる中、BYDの車を購入したり、乗り換えを検討したりしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、ガソリン車とは構造が異なるため、「車検はどこで受ければいいの?」「費用はどのくらいかかる?」「ガソリン車と何が違うの?」といった疑問や不安を感じるかもしれません。
この記事では、そうしたBYDオーナーや購入を考えている方の不安を解消するため、車検を受けられる場所から費用の内訳、業者選びのポイントまで、網羅的に解説します。
この記事を読めば、あなたのBYDに最適な車検の進め方が明確になるはずです。
- BYDの車検を受けられる場所とそれぞれの特徴
- ガソリン車と比較した車検費用の目安
- 費用を抑える「eパスポート」の活用法
- 知っておくべきメンテナンスと交換部品
BYDの車検はどこで?費用と依頼先について

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まず、BYDの車検をどこに依頼できるのか、そして気になる費用について詳しく見ていきましょう。
業者ごとの特徴を理解し、ご自身の希望に合った依頼先を見つけることが、満足のいく車検の第一歩となります。
車検は一体どこで受ければいいのか
BYDの車検を受けられる場所は、主に「正規ディーラー」と「民間の整備工場」の2つに大別されます。
どちらを選ぶかによって、サービスの質や費用、所要時間などが異なるため、それぞれの特徴を把握しておくことが大切です。
民間の整備工場は、さらに「認証工場」と「指定工場」の2種類に分かれます。
認証工場は、地方運輸局長の認証を受けて分解整備を行える工場ですが、車検の検査ラインは持っていません。
このため、整備後に車両を国の検査場へ持ち込んで検査を受ける必要があり、車検完了までに数日かかることが一般的です。
一方、指定工場(いわゆる民間車検場)は、認証工場の要件を満たした上で、自社工場内に車検の検査ラインを保有しています。
整備から検査までを一貫して行えるため、最短で当日のうちに車検を完了させることも可能です。
どちらの工場も基本的な整備は可能ですが、安心感やスピードを求めるなら指定工場が一つの選択肢になるでしょう。

正規ディーラーに依頼するメリット

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BYDの車検を依頼する際、最も安心感が高い選択肢は正規ディーラーでしょう。
最大のメリットは、BYD車に関する深い知識と専門技術を持つプロの整備士が対応してくれる点です。
メーカー独自のトレーニングを受け、最新の技術情報を常に把握しているため、細かな不具合も見逃さずに対応してもらえます。
また、ディーラーでは専用の診断機(VDS)を使用して、EVの心臓部であるパワーバッテリーの状態を詳細に点検できます。
バッテリーの健全性はEVの性能や寿命に直結するため、この専門的な診断を受けられるのは大きな利点です。整備には基本的に純正部品が使用されるため、品質面でも信頼がおけます。
一方で、デメリットとしては費用が比較的高くなる傾向にあることが挙げられます。
質の高いサービスや純正部品の使用、充実した保証体制が価格に反映されるためです。
しかし、メーカー保証の適用や、後述するメンテナンスパッケージ「eパスポート」の利用などを考慮すると、長期的な視点で見れば一概に高いとは言い切れない場合もあります。
品質と安心を最優先に考えるのであれば、正規ディーラーは最も有力な候補となります。
オートバックスや提携工場の対応状況
ディーラー以外の選択肢として、カー用品店のオートバックスやBYDの提携工場も視野に入ります。
ただし、全ての店舗で対応しているわけではないため、事前の確認が不可欠です。
特にオートバックスでは、EVの整備に対応できる「特定整備認証」を取得した店舗が増えつつあります。
例えば、東京都江東区の「A PIT オートバックス東雲」は、BYDの正規ディーラー「BYD AUTO 東京ベイ東雲」を併設しており、専門的な知識と設備で車検に対応しています。

このような先進的な店舗であれば、安心して任せることが可能です。
また、BYDは全国にサービス拠点となる提携工場を設けており、公式サイトで確認できます。
これらの工場は、BYDの整備基準に関する情報提供を受けていると考えられますが、対応可能な整備の範囲や専門性は工場によって異なる可能性があります。
車検を依頼する際は、事前に電話などでBYD車の車検実績があるか、バッテリー診断などの専門的な点検が可能かを確認することをおすすめします。
利便性や費用を重視する場合は、これらの選択肢も有効ですが、店舗の対応力をしっかりと見極めることが鍵となります。
車検の費用はガソリン車より高い?

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「電気自動車の車検は高いのでは?」と心配される方もいますが、実際にはガソリン車と比較して同等か、むしろ安くなる傾向にあります。
費用が抑えられる最大の理由は、車両の構造の違いにあります。
EVにはエンジンが搭載されていないため、エンジンオイルやオイルフィルター、スパークプラグといった定期的な交換が必要な消耗品が存在しません。
車検費用は、国に納める税金や保険料である「法定費用」と、業者に支払う「車検基本料(整備費用など)」の2つで構成されます。
法定費用
法定費用には「自動車重量税」「自賠責保険料」「印紙代」が含まれます。
このうち、BYDのようなEVは「エコカー減税」の対象となり、新車購入時と初回の車検時にかかる自動車重量税が免除されます。
一般的な乗用車クラスで20,000円から40,000円程度の費用が0円になるため、法定費用を大きく抑えることができます。
以下のサイトでも法定費用がわかりやすくまとめられているので、よければご確認ください。
車検基本料
車検基本料は、点検・整備にかかる費用や手数料です。
前述の通り、EVは交換部品が少ないため、整備項目が減り、結果としてガソリン車よりも安くなるケースが多く見られます。
ただし、これはあくまで基本的な整備の場合です。
タイヤの摩耗が激しい、あるいは駆動用バッテリーやモーターに万が一の不具合が見つかった場合は、高額な修理費用が発生する可能性も念頭に置く必要があります。
業者ごとの料金を比較するポイント
車検費用をできるだけ抑えたいと考えるなら、複数の業者から見積もりを取り、料金を比較することが有効です。
しかし、単に価格の安さだけで選ぶのは避けるべきです。特にEVの車検では、安易な業者選びが後々のトラブルにつながる可能性もあります。
比較する際に注目すべきポイントは、まず「車検基本料」の内訳です。
基本料にどこまでの点検や整備が含まれているのかを確認しましょう。
格安をうたう業者の中には、最低限の検査しか行わず、必要な整備が別途高額な追加料金となるケースもあるため注意が必要です。
次に、その業者がEVの車検実績を豊富に持っているかを確認します。
EVは高電圧システムを搭載しており、安全に作業を進めるには専門的な知識と技術が求められます。公式サイトの施工事例や口コミなどを参考に、信頼できる業者かを見極めることが大切です。
さらに、車検完了までの期間も比較のポイントです。
指定工場であれば1日で完了することが多いですが、認証工場では数日間車を預ける必要があります。代車の有無も含め、ご自身のスケジュールに合った業者を選びましょう。
安さだけでなく、技術力、実績、サービス内容を総合的に比較し、納得のいく業者を選ぶことが後悔しないための鍵です。
お得なeパスポートの加入メリット

BYD公式サイト
BYDでは、オーナー向けに「BYD eパスポート」というお得なメンテナンスパッケージを用意しています。
これは、将来の点検や車検にかかる費用を抑え、安心して車に乗り続けるためのプログラムです。
このパッケージの最大の魅力は、初回(3年目)の車検整備費用が含まれている点です。
法定費用(自動車重量税、自賠責保険料など)は別途必要ですが、点検・整備にかかる基本料金や指定された交換部品の代金がカバーされるため、車検時の大きな出費を軽減できます。
eパスポートに含まれる主なサービス内容は以下の通りです。
サービス項目 | 内容 |
---|---|
初回車検整備 | 購入から3年目の車検時に必要な点検・整備費用 |
法定12ヶ月点検 | 1年目、2年目、4年目に実施される法定点検 |
指定部品の交換 | ブレーキフルードやエアコンフィルターなど、定期交換が必要な部品 |
パワーバッテリー点検 | 専用診断機(VDS)によるバッテリーの健全性チェック |
全国ディーラー対応 | 引っ越しなどをしても、全国のBYD正規ディーラーでサービスが受けられる |
延長保証への優待 | メーカー保証を延長するプログラムに特別価格で加入できる |
このように、定期的なメンテナンスをパッケージ化することで、個別に依頼するよりもトータルコストを抑えられる可能性があります。
新車購入時に加入を検討することで、長期的に安心してBYDのカーライフを送るための心強いサポートになると考えられます。

BYDの車検内容とメンテナンスの知識

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次に、実際の車検でどのような点が見られるのか、具体的なメンテナンス内容や費用を抑えるための知識について掘り下げていきます。
EVならではの特徴を理解することで、車検への不安も軽くなるはずです。
ATTO3の維持費シミュレーション
具体的なイメージを持つために、人気車種「BYD ATTO 3」を例に、7年間の維持費をシミュレーションしてみましょう。
ガソリン車と比較して、どれほどコストを抑えられるかが分かります。
以下の表は、年間走行距離を約10,000kmと仮定した場合の概算です。
年次 | 維持費(ATTO 3) | 主な内訳 |
---|---|---|
1年目 | 約65,000円 | 自動車税(グリーン化特例適用)、充電費用、保険料 |
2年目 | 約84,000円 | 自動車税(通常額)、充電費用、保険料 |
3年目 | 約160,000円 | 2年目の費用 + 初回車検費用(重量税は免税) |
4年目 | 約84,000円 | 2年目の費用と同等 |
5年目 | 約180,000円 | 4年目の費用 + 継続車検費用(6,7年目の重量税を含む) |
6年目 | 約84,000円 | 2年目の費用と同等 |
7年目 | 約180,000円 | 6年目の費用 + 継続車検費用(8,9年目の重量税を含む) |
7年合計 | 約84万円 | 一般的なガソリン車(約140万円)より約56万円お得 |
このシミュレーションから分かるように、ATTO 3の維持費は7年間で約84万円と試算されます。
これは、同クラスのガソリン車の維持費と比較して、数十万円単位で安くなる計算です。
特に、税金の優遇措置と燃料費(充電代)の安さが、長期的なコスト削減に大きく貢献します。
もちろん、これは一例であり、駐車場の有無や車両保険の内容によって総額は変動しますが、BYDが経済的にも優れた選択肢であることがうかがえます。
法定点検とメンテナンス内容の違い

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車の維持において、「車検」と「法定点検」は混同されがちですが、その目的は全く異なります。
この違いを理解しておくことは、愛車を安全に保つ上で非常に大切です。
車検の目的は、その車が道路運送車両法に定められた「保安基準」に適合しているかをチェックするための「検査」です。
あくまで検査時点での安全性を確認するものであり、次の車検までの安全性を保証するものではありません。
一方、法定点検(自家用乗用車の場合は12ヶ月点検と24ヶ月点検)は、車が常に良好な状態を維持し、故障を未然に防ぐために行う「点検・整備」です。
人間で言えば、車検が健康診断の「結果判定」だとすれば、法定点検は病気を予防するための「定期的な診察」にあたります。
車検時には、24ヶ月点検も同時に実施されるのが一般的です。
しかし、それとは別に12ヶ月ごとの点検も法律で義務付けられています。さらに、運転手自身が行う「日常点検」も安全確保の重要な要素です。
これらの定期的なメンテナンスを怠ると、思わぬトラブルや事故につながる可能性があります。
交換部品でいらない検査項目とは
電気自動車(EV)の大きな特徴の一つは、ガソリン車に比べて構造がシンプルで、部品点数が少ないことです。
このため、車検時に点検や交換が不要になる項目がいくつもあります。これらを把握しておくと、車検の見積もり内容をチェックする際にも役立ちます。
具体的に不要となる主な項目は以下の通りです。
- エンジンオイル・オイルフィルター: エンジンがないため、当然不要です。ガソリン車では数千キロごとに交換が必要なため、この費用と手間がなくなるのは大きなメリットです。
- スパークプラグ: ガソリンを着火させるための部品ですが、EVには存在しません。
- マフラー: 排気ガスを排出するための装置がないため、腐食による交換の心配もありません。
- エアクリーナー(エンジン用): エンジンが吸い込む空気をきれいにするフィルターも不要です。
また、EVに搭載されている「回生ブレーキ」は、減速時のエネルギーで発電する仕組みで、物理的なブレーキパッドへの負担を軽減します。
このため、ガソリン車に比べてブレーキパッドの摩耗が少なく、交換頻度が低くなる傾向にあります。ただし、長期間使用しないとパッドの固着などが起こる可能性もあるため、点検自体は必要です。
主な交換部品と交換時期の目安

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EVは交換不要な部品が多い一方で、ガソリン車と同様、あるいはそれ以上に注意が必要な消耗品も存在します。
安全なカーライフのためにも、主な交換部品と交換時期の目安を把握しておきましょう。
交換部品 | 交換時期の目安 | 特徴・注意点 |
---|---|---|
タイヤ | 3〜5年 or 30,000〜50,000km | 車両重量が重く、モーターのトルクが大きいため摩耗が早い傾向。定期的な空気圧チェックとローテーションが有効。 |
ブレーキフルード | 2年ごと(車検ごと) | 回生ブレーキが主でも、油圧式ブレーキの性能維持に不可欠。経年劣化するため、定期的な交換が推奨されます。 |
バッテリー冷却水(LLC) | 4年 or 100,000km程度 | パワーバッテリーの温度を管理する重要な液体。劣化すると冷却性能が低下し、バッテリー寿命に影響を与える可能性があります。 |
エアコンフィルター | 1年 or 10,000km | 車内の空気を清潔に保つために定期的な交換が望ましいです。外気の汚れ具合によって交換時期は変わります。 |
駆動用バッテリー | メーカー保証期間(8年/15万km等)が目安 | 最も高価な部品。保証期間内に容量が著しく低下した場合は無償交換の対象になることも。保証外での交換は非常に高額です。 |
特にタイヤは、EVの重量を支え、力強い加速を路面に伝える重要な役割を担っています。
ガソリン車よりもタイヤの摩耗が早いことを意識し、日頃から残り溝やひび割れなどをチェックする習慣をつけることが大切です。
これらの部品を適切なタイミングで交換することが、EVの性能を最大限に引き出し、安全性を維持する上で鍵となります。
総括:安心して任せられるBYDの車検の選び方
- BYDの車検は正規ディーラーのほか、一部のカー用品店や民間の整備工場で受けられる
- 車検のタイミングは新車購入から3年後、それ以降は2年ごとでガソリン車と同じ
- 車検業者には専門性や設備の異なる「ディーラー」「指定工場」「認証工場」がある
- 安心感を最優先するなら、専門知識が豊富な正規ディーラーが第一候補
- ディーラーでは専用診断機による詳細なバッテリー点検が可能
- オートバックスなど一部のカー用品店でもEV車検対応店舗が増加している
- ディーラー以外の業者に依頼する際は、EVの車検実績を必ず確認する
- 車検費用は「法定費用」と「車検基本料」で構成される
- EVはエコカー減税により、初回車検時の自動車重量税が免除される
- エンジンオイル交換などが不要なため、車検の基本費用もガソリン車より安くなる傾向
- 費用を比較する際は、価格だけでなく整備内容や技術力も考慮する
- BYDの「eパスポート」に加入すると、初回車検の整備費用が含まれお得
- EVは構造がシンプルなため、エンジン周りの部品交換は不要
- タイヤは車両重量の影響でガソリン車より摩耗が早い可能性があるため注意が必要
- 長期的な視点で、信頼性とコストのバランスを考えて業者を選ぶことが満足への近道
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